ESSAY

2016-12-08

親が苦手。

学生だったころ、なんとなく父親が苦手で、控えめにいってもあまり好きではありませんでした。そんな折、どういう理由だったか、作家のひすいこたろうさんとタクシーのなかで話をしていて、彼もそうだったというのを聞きました。でもあるきっかけから、認められるようになり、今では尊敬しているし大好きだと。

そのきっかけというのは、ひすいさんがある人に、じぶんの「いいところ」はどこだと思いますかという質問をされて、気恥ずかしいながらに考えたそうです。そして、いくつかの、これは我ながら長所ではないか、自信をもって「いい」と思える部分ではないか、というポイントを挙げてみたそうです。

するとその相手に、わたしもそうだと思います。それがひすいさんのいいところだと思います。でもそれはみんな、ひすいさんのお父さんの、いいところなんじゃないですか、と言われたそうです。そしてびっくりしたと。まさにそのとおりだったから。

その話を聞いて、ぼくもはっとしました。じぶんのいいところ。

ストイックなところ。好きなものに対する探究心。じぶんを高めたいという向上心があるところ。家族を大事にしたいと思うところ。面白い、楽しい人でいたいと心がけているところ。

じぶんで答えるのはなかなか恥ずかしいものもありますが、けれど、これらはみんなみんな、父親の美点です。ぼくが父親を客観的にみて、尊敬できる部分です。そうか、やっぱりぼくはお父さんの子なのだ、と思いました。

家族のことが、とりわけ両親のこと、そのどちらかを苦手と感じている人はきっと少なくないでしょう。でもよかったら、一度考えてみてください。あなたのいいところ。そして、あなたの苦手とする親の、いいところ。もしかすると、きっちりいい部分を受け継いでいるかもしれません。人が人を育てるというのは、そういうものかもしれません。

イデトモタカ