ESSAY

2017-06-28

非夢中。

人は体感した分だけ歳をとる。そんな考えかたがあるのを知った。けっこう昔の話。ぼくが高校生か大学生のとき。本で読んだのか人から聞いたのか、憶えていないけれど「なるほど」と思った。

なにかに熱中している人は若い。子どもみたいだ。比喩てきにいつまでも子どもだとか、子どものまま大人になった人なんて言う。なにかに夢中で、熱中して生きていたら、毎日あっという間に時間が過ぎる。え、もう寝る時間と驚いて眠る。もっと遊んでいたいのに。

だからそういう人は若いのだと。体感時間が短いから、他の人よりもうんと歳をとらないのだと。素敵な考えかただと感心した。ぼくも子どもでいたいと思った。

でも最近ふと思う。そのことを思い出して、思う。ゲームが悪いというのではないけれど、ゲームが好きでゲームばかりしている人は、時間があっという間に過ぎていく。ゲームは楽しいから集中して夢中になって、気づかないうちに何時間も経っている。体感時間はすっごく短い。だからそれだけ歳をとらない。としたら、やっぱり子どものままだと思った。

苦労しなければいけないとは思わない。歯を食いしばって勉強したり仕事をしたり、辛い思いをしなければいけないとも思わない。でも、あっという間に過ぎていくことばかりが、歳をとらないことばかりが、子どもばかりが、いいわけでもないだろうと。

ぼくは昔に比べて歳をとった。それは顔にも出ているし、たぶん雰囲気にも出ている。長いと感じる時代もあった気がする。それでも、ぼくは歳をとって良かったとも思う。多少なりとも積み上がったものがあるから、まあそれで遊べばいいやと思う。

イデトモタカ