ESSAY

2017-07-10

不明世界。

どうしてあんな物語を書いたんですか。どうしてそんな文章を書くんですか。そう訊かれても、正直困ることしかできません。こういうものを書こうとしたというより、書いたらこうなったというのが真実だから。

ぼくは書くことしかできない人間だけれど、他の奏でる人とか、紡ぐ人とか、練る人とか演じる人も同じ具合ではないかしらん。やってみたら、そうなったということが、だいたいの場合においてすべてです。予定どおりに生きている人なんて、考えてみればいないわけでね。

ぼくは学生時代にそれなりに将来について考えたり本を読んだりした方だと思いますけれど、それでもわけのわからない現在を生きています。こんなはずではなかったし、こんな予定でもなかったし、ただ、生きてみたらこうなったのです。そしてそれは、別に悪くないわけで。

ただ一つ、決まっていることもあります。いい悪いではなく確かなことがあります。それは、なにもしなければ、意志を持たなければ、未来は過去の延長だということです。書かなければ、どんな文章も書き上がりません。そういう意味では、どれだけの駄作であっても、書かないよりは成功しているのかもしれません。

何度もしているから耳にたこかもしれませんけれど、好きな話なので何度でもします。目標を持つ目的は、達成することではなく、それによって行動を変えることにあります。日常に変化を与えることにあります。「やってみたらこうなった」も、なにもしなければなにもなしですから。

どんな行動が、いつ、なにに、なるのかは不明です。世界はわけがわかりません。それでも、それを楽しむことこそが、愉快な未来への道筋でもあります。あるいは、それだけが。

イデトモタカ