ESSAY

2017-08-10

3ステップ。

整理整頓には3つのステップがある。1つめは、整理整頓の本質は片付けではなく、ものを捨てる(減らす)ことだと気づくことだ。ぼくが第1ステップにたどり着いたのは、大学一年の頃だったと思う。それ以来格段に部屋がすっきりした。床を埋め尽くしていた何百冊という本を、ばんばん処分しましたからね。後悔しなかったこともないけれど、それ以上に満足している時間は長い。

整理整頓の2つめのステップは、毎日実際に減らしていくことだ。大掃除のように一気にやるのは気もちいいけれど、どうせすぐにまたものでいっぱいになる。それはある種の生活習慣病のようで、体質そのものを改善しなければ何度でも繰り返す。だから日々意識的に、増えるものよりも減らす量を確保する。ぼくは今のところ毎日5分で5個のものを減らす、というルールでやっているけれど、なかなか苦労する。それでも、何年も使っていなかったり、見ていなかったものが減っていくので、部屋を流れる水はきれいになっている気がする。

そして整理整頓の3つめのステップは、ほんとうに捨てるべきものは、「もの」ではなく「未練」なのだと知ることだ。稼動していないけれど捨てられずにいるものは、ものではなく未練だ。感動したけど二度と見返すことのないDVD。何度挑戦しては断念したかわからない語学の本たち。昔の趣味や遊び道具や習い事の残骸。着なくなったけど高かった服や鞄。

どれでもその正体は「もの」ではなく「未練」だ。思いがものを増やし、未練が捨てさせない。毎日5個ずつでも減らしていると、やがて「未練ゾーン」に踏み入ることになる。そのとき、ぼくらが葛藤するのは、単に捨てるか捨てないかではないのだ。「さまざまな可能性のある未来」と対峙することになる。人生は長いようですぐに過ぎていく。未練を断つのは簡単ではないけれど、いつまでもいつまでも付き合っている相手でもない。

最後に、そんなにも絶対にものを減らし、捨てて、整理整頓をしなければいけないのかということについて。ぼくは正直「どっちでもいい」と思っている。価値観であって生きかたであって思想であるから、まったくもって自由なことだ。りんごより桃が好きだということくらいに、ぼくはものを増やすより減らすほうが好きだというだけのことだ。あなたがなにを好きかは知らない。

ぼくはじぶんとじぶんのまわりを、いつでも「すっきり」させていたい。じぶんがなんなのかわけがわからなくなるにつれ、イライラしてくるのを知っているから。

イデトモタカ