ESSAY
2018-09-09
常識的なアプローチを。
うまくいっている人から、うまくいっている方法を聞き、そのとおりにやろうと思ったら、まあなんて大変なことかわかります。そのとき常々思うのです。うまくいかない理由の大半は、けっきょくは怠惰なのだと。
仕事をするうえで、ぼくがとても大切にしている本がいくつかあるのですけれど、そのうちの一つにはこう書かれています。
「どれも常識的なアプローチだ」
と。つまるところ、例えば人のこころを動かすような文章を書くことについても、入念な調査と準備が必要になります。そのためには、たとえば100個のやることがあったりします。ぜんぶやるのは大変に思えるのですが、でも実はどれも常識的で、考えてみれば当たり前のことばかりです。すなわち、常識的なアプローチなのです。
最近ぼくはまた別の場所で別の文章を書くことになったのですが、そこではこれまで以上に書く前の準備やら対策やら調査やらが必要になっていて、やったことがない分、ひどく大変に思えてしまいます。
「カシミア」の文章を手を抜いているわけではないですが、好きに書いてるので早ければ10分もかからず書き終えます。けれど、もっと具体的な目標を立てて、その後の影響まで考えてとなると、準備に一週間近くかかり、執筆にも数時間を要します。でも同じことをしている人からすれば、常識的な範囲の話でしかないわけで。
どちらかといえばぼくは非常識に生きていきたいと思ったりもしますが、うまくできていないことについては常識的にやっていこうと思います。大変だとか、嫌だとか、そんなモノサシではなくて、常識的にできることをやることだけでも、十二分に世間からはみ出ますから。そういうものだということは、ちょっとくらい知っているのでね。
イデトモタカ