ESSAY

2009-04-04

×××するほど豊かになる。

例えばあなたが山道を歩いていて、大きな荷物を山ほど抱えた旅人に出会ったとします。難儀に思ったあたなは、その旅人に訊ねます。

「不自由そうですが、みんなそんなに大切な荷物なんですか?」

すると旅人は立ち止まり、辛そうにこう答えました。

「いやいや、どれもたいしたものではないですよ」と。

……。

このお話、どう思いますか。ぼくはとてもばかばかしいと思います。あんなに荷物を持っていたら、きっと脇道のたんぽぽにも、クロワッサンのかたちをした白い雲にも、もしかしたら爽やかなそよ風にさえも気づかずに、ただ過ごしてしまう気がします。もっと身軽になればいいのにと、持てる分だけにすればいいのにと、きっと思われたことでしょう。

あなたが山道を歩くとき、できるだけの軽装で、その道程をたのしむことと思います。なのに人生という見えない山道を行くときは、なぜか持ちきれない荷物を蓄えてしまいます。本棚からあふれた本や、クローゼットに入りきらない洋服は、持ちきれない荷物じゃないですかい。いつの間にか、知らない(いらない)荷物をいっぱい抱えて辛そうに歩いてないですかい。

うん、捨てましょうぜ。

旅に出る気もちで、荷物を厳選しましょうぜ。側道の名もない花に、目を瞠る満月に、知らなかったじぶんに気づけるように、余裕をもって生きましょう。

ついでに、明日のことも、それより先の未来のことも、考慮する必要はあるけれど、どうなるかわからないものを、心配し過ぎるのも大きな荷物です。だから解決しない「不安」も一緒に捨てましょう。身も心も軽くして、せっかくの世界と遊びましょうぜ。

イデトモタカ