ESSAY

2011-03-01

アキショウの世界。

いま本屋さんに行くと、すぐにおもしろい本ばかりが売られています。じっさいに売れている本も、すぐにおもしろそうな本ばかりな気がします。いい悪いでなく、そういう時代なんだなぁと、ぼくは思って、やっぱり他の人とおなじようにすぐにおもしろそうな本を手にとってレジへと持っていきます。

ぼくはフランソワーズ・サガンという、フランスの女性作家さんの小説がとても好きで、なかでも『愛は束縛』と『一年ののち』がいっとう気に入ってなんども読んでいました。けれど、残念なことにこのふたつの小説は、すでに絶版になってしまっています。ぼくとしては、これはとても悲しいことです。でも、しかたないのかもしれないとも思います。なぜなら、これらの本は、すぐにはおもしろくないからです。

本屋さんも出版社さんも、ビジネス(商売)なので、売れないものをいつまでも扱うことはできません。だから、たぶんサガンの作品だけでなく、どんどん昔の、すぐにはおもしろくない本は、なくなっていってしまうんじゃないかと想像します。やはりこれは、とても残念で、悲しいことです。すぐにはおもしろくないのだけれど、本当はものすごくおもしろいんですからね。

インターネットが普及して、この「すぐに」という風潮に拍車をかけました。「すぐに」であることは、重要というよりもむしろ「当たり前のこと」になりました。インターネットだと、すぐに探しものが見つかるし、すぐに反応が返ってくるし、すぐに広がるし、そしてなにより、すぐに結果が出ます。

この「即効性」は劇的に時代の速度を上げましたが、人々の忍耐力や、じわじわとした強さ、というものは、減らしてしまったんじゃないかなぁなんてことを考えていました。世界が「飽き性」へ向かっているような、そんな気がしました。

ぼくの書く文章は、見てのとおりすぐにおもしろいようなものではないし、最後まで読んでもそもそもおもしろくないかもしれませんが、ぼかぁこんな感じのが好きなので、そんな感じのものを好いてくれている方々に少しでもよろこんでいただけたらなぁと思っております。

イデトモタカ