ESSAY

2011-05-01

チャージは500円だよ。

やぁ、ようこそ、いらっしゃい。
きみは、いつも、やってくるのかい?
それとも、きょうは、やってきたのかい?
なににしても、まずはあいさつからだ。
おとなの付きあいだからね。
どうもっ、こんばんは。

きみは、なにを求めてここに来たんだい? ぼくが着いたのが夜の10時だから、もう、けっこうなじかんだろうにさ。ぼくはきみの顔が見えないからね、それに、きょうのきみと、あしたのきみは、ちがうかもしれないだろう。だから、なにを求めているのかと考えて、リクエストに応えたいと思っていても、これがなかなかむずかしい問題でねぇ。ああ、失礼、なにか飲むかい? といっても、ココアしかないんだけどさ。

そういえばきみは、映画は好きかい? 映画はいいよね、手軽に非日常を体験できて、なによりたいてい日常よりは刺激的なもんさ。非日常を提供するプロといえば彼だね、えーっと、ほら、一昨年亡くなった……そうだ、マイケルだ。彼は一流のエンターテイナーだったね。ぼく? ぼくは残念ながらずいぶんなリアリストさ。エンターテイナーではありたいと思っているんだけどね。しかし、映画の話に戻るけど、いくらおもしろいといっても、1800円はちょっと割高だと思わないかい? ぼくはオトコのコだからね、水曜日を待っても仕方ないんだ。ここはたいしておもしろくはないかもしれないけど、タダでやってるから、お金がないときは来ればいいよ。あ、そのココアは450円だからね。

おやおや、もう後半になってきているじゃないか。このままだと、まるでおいしくないスナック菓子だね。身にもならず、快感もないなんて。まぁ、太りはしないから、そこはぼくが勝っているかな。

なんだい? いつもの人とちがうって? いまさらなにをいっているんだい、きみは。といっても、あしたはまた、いつもの人が来てると思うよ。彼は真面目ぶっていて、実はけっこう冗談が好きだからね。

なんだい? きょうはこれで終わりかって? いまさらなにをいっているんだい、きみは。……と、いいたいところだけど、安心してほしい。ぼくがこんなにつまらない人間なわけがないじゃないか。おどろくなかれ! 冒頭から右から二番目の文字を縦に読んでみたまえ!

ははは、言ってみただけさ。そんなすごいことができるわけないじゃないか。ぼくは冗談が好きなのさ。

ではきょうも、ご来店ありがとう。またあした待っているよ。

BAR Dettakoomia.

イデトモタカ