サヨナラと、エッセイだけが、人生だ。

  1. おやゆび便り
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痛いの痛いの

痛みは人を学ばせる、なんていっても
暴力を肯定しているわけじゃない。
暴力はぼくだって大嫌いだ。

高校生の頃、ダンス部だったぼくは
頭にナスカの地上絵のように
ライン(剃り込み風の模様)を入れていた。
親しかった美容師さんと毎月
どんなデザインにするか遊んでいた。
機嫌がいいときには眉毛にも入れていた。

遅刻指導に遅刻していたぼくは
体育教官室で頭に入れたラインの数だけ
頭部を叩(はた)かれたのだけれど、
遅刻とラインは無関係なので、
すごく嫌な気もちだった。

関係ないというか、そもそも頭を叩いても
ぼくは朝起きれるようになるわけじゃない、
ということを言っても、
どうせ叩かれる数が増えるだけなのだ。

いつかお前も感謝する日が来るだとか、
オトナになったら意味がわかるだとか、
言っていた気もするけど、
ぼくのなかではいまだに嫌な記憶だし、
感謝したことは一度もない。
あんな人にはなりたくないな、
と思うだけだった。

ということで、ぼくは暴力反対なのだけど、
痛みは人を学ばせるということは
身をもって真実だと言える。
ここでいう「痛み」とは、
腰だとか肩だとか、そういう肉体的なものと
こころや気もちといった感情的、
精神的なものの両方だ。

ぼくはけっこう腰が痛い人生なので、
腰痛についてはずいぶん学んだし、
お金もかけたし時間もかけた。
問題が大きいから、それだけ学習も進んだ。
痛くない人からすれば無意味な知識でも、
ぼくにとっては重要なのだ。
失恋をしたり恥ずかしい思いをしたり、
バカにされたり惨めな思いをしたら、
こころがすごく痛くなる。
ぼくはそういうときにもいろいろ学んだ。

学ぶのは痛みを回避する方法だけじゃなく、
痛みの原因だとか、構造だとか、
歴史だとかも研究対象になる。
そうやって、いろんな人生の痛みが、
ぼくが学ぶ原動力になった。

颯爽とやってきて涼しげに敵を倒す。
そんなヒーローにぼくはなれない。
傷だらけで、誰よりも痛みを知っている。
そういう人だからこそ書けることばもある。
ぼくはそっちでいい。
そもそもヒーローじゃないしね。

あなたの傷や痛みは、あなたを育てた。
いろんなことを知っている人、
いろんな話をしてくれる人は、
傷だらけなんじゃないかと思う。
興味と明るさだけで学んできた人は、
正直あんまり信用できない。

傷痕自慢はつまらないけど、
バカな傷の話はおもしろいやね。

では、また書きます。

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