サヨナラと、エッセイだけが、人生だ。

  1. おやゆび便り

市井にないことば

「挨拶」という文字を書けない人は、
あいさつができない。
ということが、新人研修などで言われる、
と耳にしました。
ぼくは偶然というか幸いというか、
「挨拶」という漢字がおもしろいなあと
思って憶えていたので書けましたが、
書けない人はなかなかに多いようです。

漢字で「挨拶」と書けない人は、
あいさつができないというのは、
なんとも同意しかねる論理ではありますが、
ことばを知らなければわからない、
というのは本当のことではあります。
これはソシュールから学んだことですが、
ことばとはモノの名前ではないですから。
ぼくらの知っていることが、ことばです。

日本語にもしづらく、
概念的にも理解するのが厄介なことばが
いくつかあります。
でもそれらがピンとわかったときには、
考えるときの重要な材料になります。

例えば「イデオロギー」ということばを
理解するのにぼくはずいぶん時間が
かかった記憶があります。
あなたも聞いたことくらいはあるでしょう。
イデオロギー。

辞書には、

「人間の行動を決定する、
根本的な物の考え方の体系。」

や、

「歴史的・社会的立場を反映した
思想・意識の体系。」

よりシンプルには、

「観念形態。」

なんて記されています。
わかったようなわからないようなです。
ぼくの認識では、考え方や価値観の
土台(ベース)になっているもの、
というニュアンスが近しいですが、
完璧に定義するのはむずかしいです。
イデオロギーはイデオロギーであり、
より肉体的に理解しているから
なのではないかと思われます。

ただこの「肉体的に理解」というが、
得られないとどれだけことばを費やして
説明しようがわからないのがことばです。
そしておもしろい部分でもあります。
本を読むにせよ、雑誌をながめるにせよ、
絵を観るにせよ、そこにある
イデオロギーに着目できるかどうかで
得られるものがうんと違います。
でもイデオロギーとはなんなのかが
わからない分には、手も足も出ません。

あらゆる角度から、何度も何度でも
同じことば(イデオロギー)に出会う。
そうやって人はことばを身に着けます。
市井を生きるだけではなかなか
頻度高く出会えないことばもあります。
だからこそ読書量の差が見えるもので。
本のなかにしかいないことばもある。
めずらしいポケモンのように、
そういったことばに出会えるのも
読書の妙であったりしまする。

では、また書きます。

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